主動筋(しゅどうきん)?拮抗筋(きっこうきん)?この意味は?
どんな働きをしているの?
筋トレと関係あるの?
こんなお悩みを解決します。
本記事の内容
主動筋(しゅどうきん)と拮抗筋(きっこうきん)の関係を解説
筋トレにおいて主動筋、拮抗筋の働きを理解しよう
拮抗筋を利用した筋力トレ方法スーパーセットについて
本記事の信頼性
この記事を書いている僕は、筋トレ歴25年、ジムトレーニング経験13年、パーソナルトレーナー歴6年ほど。柔道整復師として現在整体院にてトレーニング指導、ストレッチ指導を行っています。
それでは解説していきます。
筋トレで理解が必要な【主動筋と拮抗筋】をわかりやすく解説
骨格筋には必ず起始と停止があり、筋肉の収縮でこの二つの点が近づくことで関節が動き、動作を行うことができます。
こちらの図では上腕三頭筋の起始点と停止点が表されています。肘を伸ばす時に上腕三頭筋の起始と停止が近づくことで、肘関節を伸ばすことが可能となります。
出典:visiblebody.com
筋トレに限らず、ある動きをする場合には必ず骨格筋が働くことで動作が可能になります。その動きを行う上で最も主役として使用される筋肉のことを主動筋(しゅどうきん)と呼びます。
筋肉は、1本1本の筋線維が収縮して力を発揮することで関節を動かしていますが、一つの筋線維は1方向の運動を行うための力しか出せません。例えば肘を曲げる時には、上腕二頭筋が作動することで肘が曲がりますが、肘を伸ばすためには上腕三頭筋の働きが必要になります。
拮抗筋(きっこきん)とは、ある動きをするときに使われる筋肉(主動筋)と反対の働きを担う筋肉のことをいいます。
先ほどの例、肘を曲げる時の主動筋は上腕二頭筋で拮抗筋は上腕三頭筋になるわけです。
主動筋(しゅどうきん):関節を動かす主役を担う筋肉
拮抗筋(きっこうきん):主動筋と反対の働きをする筋肉
筋トレ初心者の方は、この2つの働きをおさえておいてください。
主動筋と拮抗筋の関係には相反抑制についても知識を持っておいた方がいいですよ
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それぞれの動作で主動筋、拮抗筋の働きを見てみよう
実際にいくつかの例をもとにこの3つの働きを説明しますね。
まずは、主動筋と拮抗筋の動きを覚えておくといいですよ。
【筋トレ】上肢・体幹の主動筋と拮抗筋
出典:筋の機能解剖学に基づいたクリニカルマッサージ
・肘を曲げる動き(バーベルカール)
主動筋:上腕二頭筋
拮抗筋:上腕三頭筋
・肘を伸ばす動き(トライセプスエクステンション)
主動筋:上腕三頭筋
拮抗筋:上腕二頭筋
この二つの動き、肘を伸ばす時と曲げる時の動きで主動筋と拮抗筋が入れ替わっていることに気づいたでしょうか?それぞれの動きで、筋肉の働きは正反対になっていますよね。
ここをおさえておくと、主動筋と拮抗筋の区別がつきやすいですよ。
・ベンチプレス
主動筋:大胸筋
拮抗筋:広背筋
・シットアップ
主動筋:腹直筋
拮抗筋:脊柱起立筋
【筋トレ】下肢の主動筋・拮抗筋
それでは、下肢も見てみましょう
・膝を伸ばす動き(レッグエクステンション)
主動筋:大腿四頭筋
拮抗筋:ハムストリング
・膝を曲げる動き(レッグカール)
主動筋:ハムストリング
拮抗筋:大腿四頭筋
・股関節を曲げる(レグレイズ)
主動筋:腸腰筋
拮抗筋:大殿筋
・股関節を伸ばす(ヒップリフト)
主動筋:大殿筋
拮抗筋:腸腰筋
・足関節を伸ばす(カーフレイズ)
主動筋:下腿三頭筋
拮抗筋:前脛骨筋、長趾伸筋、長母趾伸筋
ここまでくると、主動筋と拮抗筋の関係は理解できたでしょうか。
筋トレ初心者はここをしっかり理解することで、トレーニング効果が違ってきますよ。
筋トレで拮抗筋を利用したトレーニング方法
筋トレで、拮抗筋を利用したトレーニング方法があります。それは、スーパーセット法と呼ばれるものです。
拮抗筋は主動筋が働く時に、ブレーキをかける働きもあります。
そこで、目的とする主動筋の筋力を十分引き出すために、先に拮抗筋のトレーニングをして意図的に拮抗筋の疲労を促した後で、インターバルを入れずにすぐ主動筋を鍛えると拮抗筋のブレーキ作用が外れて、目的とする主動筋の筋力強化につながるというものです。
例えば、上腕二頭筋をターゲットにしてトレーニングする時には、はじめに上腕三頭筋のトレーニングを行い、すぐに上腕二頭筋のトレーニングをやる、という感じです。
トライセプスエクステンション⇨アームカール
この時に注意が必要になるのは、はじめの拮抗筋のトレーニングで追い込み過ぎないことです。あくまでも拮抗筋のブレーキを外すのが目的です。
これがスーパーセット法です。
スーパーセット法は目的とする筋肉を短時間で効率的に鍛えることができるので、筋トレである程度重量が扱えるようになってきたら取り入れてもいいでしょう。また、トレーニング記録や筋肥大が停滞気味の時にもいい刺激になりますので、筋トレをやっていく中で覚えておいた方がいいですね。
スーパーセット法をやるときの注意点は、効率的に筋肉を追い込むことができる分疲労の蓄積もしやすくなりますので、体調を考慮してトレーニングメニューを組む必要が出てきます。
スーパーセットの例
大胸筋のスーパーセットの例
・ベントオーバーロウ⇨ベンチプレス
強化目的の筋肉は、大胸筋
【広背筋の働きを抑えて→大胸筋をメインに追込む】
上腕三頭筋のスーパーセットの例
・アームカール⇨トライセプスエクステンション
強化目的の筋肉は、上腕三頭筋
【上腕二頭筋の働きを抑えて→上腕三頭筋をメインに追込む】
広背筋のスーパーセットの例
・ベンチプレス⇨ベントオーバーロウ
強化目的の筋肉は、広背筋
【大胸筋の働きを抑えて→広背筋をメインに追込む】
腹直筋のスーパーセットの例
・バックエクステンション⇨アブドミナルクランチ
強化目的の筋肉は、腹筋群
【背筋群の働きを抑えて→腹筋群をメインに追込む】
大腿四頭筋のスーパーセットの例
・レッグカール⇨レッグエクステンション
強化目的の筋肉は、大腿四頭筋
【ハムストリングの働きを抑えて→大腿四頭筋をメインに追込む】
ハムストリングのスーパーセットの例
・レッグエクステンション⇨レッグカール
強化目的の筋肉は、ハムストリング
【大腿四頭筋の働きを抑えて→ハムストリングをメインに追込む】
まとめ
ここまで読まれて、拮抗筋と主動筋の働き、筋トレテクニックの一つスーパーセット法を理解していただけたでしょうか。筋肉の働きを覚えておくことで自分でも筋トレメニューを組みやすくなり、トレーニングの停滞時期も打破できるようになる可能性が高くなりますので是非筋トレの幅を広げるためにも拮抗筋、主動筋の関係とスーパーセット法をしっかりおさえておいてください。
今回はここまで。