本記事は、プライオメトリックトレーニングのメカニズムと効果的なトレーニング方法を解説したものです。
レジスタンストレーニングには欠かせない、プライオメトリックトレーニングとは?
プライオメトリックトレーニングを効果的に行うためにも、まず筋肉の反射作用である伸長反射を理解しておく必要があります。
伸長反射(しんちょうはんしゃ)とは
筋肉には、筋の長さを感知する筋紡錘(きんぼうすい)と呼ばれるセンサーがあります。
筋肉が急に伸ばされた時に、筋紡錘によって筋が伸ばされたことを感知され、その信号が脊髄に送られ、続いて脊髄から信号が送り返されて、無意識に筋肉を収縮する働きが起こります。
これが伸張反射です。
わかりやすいやすい例は、椅子に座り90度に曲がったひざ下(膝蓋腱)を叩くと反射的に膝が伸びることを経験したことがあると思います。
これが膝蓋腱反射(しつがいけんはんしゃ)といい伸長反射のひとつです。
膝のお皿の下にある膝蓋腱(しつがいけん)に刺激を与えることで、腱を介して筋紡錘は筋肉が伸ばされたと感知して脊髄に命令が伝達して、無意識で筋肉を収縮するように働くことにより、膝を伸ばす作用がおこります。
プライオメトリックトレーニングとは
さきほど説明した伸長反射を利用して、カウンタームーブメントと言われる反動動作と、その直後に筋肉が収縮すること(短縮性筋活動)により素早く力強い動作を発揮できるようにする方法がプライオメトリックトレーニングです。
このような力を発揮することを専門用語では、伸張-短縮サイクル(ストレッチショートニングサイクル、SSC)と呼びます
伸長反射とその後に起こる筋の短縮作用を利用することで、トレーニング次第では爆発的な力を発揮することが可能になり、主に瞬発力、素早い切り返し動作、爆発的なスタートダッシュなどを鍛えるために非常に有効です。
また、プライオメトリックトレーニングをとりいれることで、バランスを崩したときのリカバリー能力や切り返し動作の向上も期待できますので、傷害予防にも役立ちます。
あわせて柔軟性トレーニングを行うことで、さらに傷害予防対策につながります。
トレーニングをやる上での注意点とは
プライオメトリックトレーニングは反動動作を利用しておこなうため、筋や腱に過度のストレスが強いられます。
そのため、筋の発達が未熟なトレーニング初心者においては、ある程度筋力や体の動きができてきた段階でとり組む方が体を壊すことなく、トレーニング効果を上げられるでしょう。
例外として、筋トレ初心者でもレジスタンストレーニング指導者に指導を仰ぎながら自分の体力、筋力に合わせながら行う分には問題ありません。
筋肉痛や疲労の蓄積に注意しながら取り組んでください。
プライオメトリックトレーニング方法とは
①その場ジャンプ(ツーフット・アンクルジャンプ)
・肩幅程度に両足を広げて立ち、軽くヒザを曲げてジャンプします
・着地の際は、足首と膝で床からの力を受け止めて再度ジャンプします
・この動作を繰り返して行います
足首から膝、股関節そして上半身へと力の連動を感じながらやるようにしましょう。
出来ないときには、意識を持つだけでもOKです。
上半身が猫背気味にならないように注意
②スクワットジャンプ
・開始姿勢は、その場ジャンプと同じく両足を肩幅程度に開いて立ち、手は頭の後ろで組みます
・軽くしゃがみ込み、膝を曲げた反動を利用して真上にジャンプします
・この動作を繰り返して行います。
しゃがみこんだ反動を利用して高くジャンプする
①と同様、背中が丸まらないようにする
着地は同じ位置に来るようにする
③スクワットボックスジャンプ
・自分の前にボックスを用意します
・ボックスから1、2歩程度離れて(両足は肩幅程度)、両手は両骨盤脇にあててたちます
・軽くしゃがみ込んでから膝を曲げた反動を利用してジャンプし、前のボックスに着地します
ジャンプする時には足首・膝・股関節・体幹の連動性を意識しながら行いましょう
開始姿勢を腰骨にあてないで、上肢の振りの反動を利用した方法もありますが、この場合は上肢の振り上げの反動もジャンプ時の力に加えることでより体の連動性が強化されます
・姿勢は①②と同様
・ボックスの高さは、始めは低めから行う
・下肢から体幹の連動を意識する
・しっかりボックスに着地する
ここでは、3パターンの動作を説明しましたが、まだトレーニング方法はほかにもあります。
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まとめ
プライオメトリックトレーニングは、人にもとから備わっている反射作用を利用したトレーニング方法で瞬発力、スタートダッシュ、切り返し動作などを目的としたトレーニーにはうってつけのものです。また、リカバリー能力が向上することで傷害予防にもつながることが期待できます。しかし、トレーニング初心者では、ケガや過度の筋疲労につながることもあり注意が必要です。
スポーツのための筋力トレーニングを目指しているひと以外にも、普段の筋トレとは、一味違う刺激を与えてみるのもいいですね。
今回はここまで。
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