ストレッチ効果を上げるには、なぜゴルジ腱器官と筋紡錘が必要か?

ストレッチしている人

ウォーミングアップや柔軟性の向上、疲労回復には欠かせないストレッチ。
そんなストレッチの効果的な方法と注意するべきことを知りたくないですか?
本記事は、筋肉や腱の反射を利用したストレッチの方法を知りたい方に向けた記事です。

 

ストレッチの効果を上げるには、なぜゴルジ腱器官と筋紡錘を知る必要があるのか?

ストレッチを効果的に行うにはまず腱についているセンサーのゴルジ腱器官筋についているセンサーの筋紡錘のはたらきについて理解しておく必要があります。

それって難しい話じゃないの?・・・大丈夫です。簡単にわかりやすいように解説しますのでご安心ください。

 

ゴルジ腱器官ってなに?

筋肉の両端は、腱になって骨についています。
ゴルジ腱器官は腱に存在しており、腱の張り(張力)を感じとるセンサーの役割をしています。

どういうものかというと、筋肉に強い負荷がかかったときに、もうこれ以上力がかかったら筋肉が壊れてしまう、という前に反射的に筋肉を緩める反応が起こります。

この働きをするのがゴルジ腱器官です。

この反応は、意識的に筋肉を緩めるのではなく人の反射作用で、無意識ではたらきます。

つまり人に備わっている防御反応の一つです。

 

例えば、筋トレでは、重い負荷をかけてトレーニングした後に体が柔らかくなっていることを感じたりしませんか?これは、ゴルジ腱器官の働きで一時的に筋肉は緩んで関節の動く範囲が広がることにより感じられる効果です。

次の日には筋肉痛などで関節の動く範囲は狭く感じると思いますが・・・

 

筋紡錘ってなに?

筋紡錘は、筋肉の長さの変化する割合を感知するセンサーで、筋の中にあります。

例えば、筋肉に必要以上の負荷がかかり、筋肉が伸ばされようとした時、ストレッチなどで急に筋肉が伸ばされたときに、筋紡錘がはたらき反射的に筋肉を硬く(収縮)するはたらきが起こります。

これも、無意識で反射的におこる人の防御反応です。

 

ゴルジ腱器官や筋紡錘のおかげで、筋や腱の怪我を防ぐことができているわけです。

 

しかし、筋肉を制御する反射のはたらき以上に負荷がかかってしまった時に、筋断裂や腱断裂が起きてしまいます。

 

ゴルジ腱器官:腱の張力を感知して筋を弛緩(緩める)
筋紡錘:筋の長さを感知して筋を収縮(硬く)する

 

 

ストレッチへの応用方法

ここまで読み進めてもらうと、感の良い方ならもうお分かりかと思いますが、反射を利用して通常のストレッチ効果を倍増することができます。

「ゴルジ腱器官は筋肉に強い負荷がかかった時に反射的に筋肉を柔らかくする(弛緩)作用がある」と説明しました。

これを利用します。

 

パートナーと一緒にストレッチした方が効果的です。
例えば、片脚のハムストリングのストレッチをするとき、ストレッチを受ける側は仰向けに寝ます。

・パートナーは、片脚をハムストリングが伸ばされている感じが出るまでゆっくり上げていきます。

もうこれ以上は無理、という位置からハムストリングから下肢に力をいれて、上げた片脚を床に押し戻すようにします。

脚を押さえているパートナーは、下肢が下に行かないように押さえておきます。

5秒くらいしたら力を抜きます。

パートナーは下肢をさらに上げて関節の動く範囲を広げていきます。

この時ストレッチを受けている方は、さっきよりストレッチ感が少なく楽になっていることを感じるでしょう。

この「力を入れる→力を抜く→ストレッチ」を3セットくらい繰り返すことで、可動域の広がりが感じられると思います。

 

反射を利用したストレッチはリハビリ現場でも取り入れられており、PNFストレッチとして知られています。


筋紡錘はトレーニングに応用され、プライオメトリックトレーニングがそれにあたります。

 

普段のストレッチ時の注意点

スタティックストレッチでもバリスティックストレッチにも当てはまることですが、筋紡錘は筋の長さに反応して筋を硬く(収縮)するというはたらきがあります。

そうすると、スタティックストレッチ時に無理やり関節を広げて筋肉を伸ばそうとすると、筋紡錘の防御作用がはたらき、柔らかくしようとストレッチしているはずなのに、逆に硬くなってしまいます。

バリスティックストレッチにおいても、筋温が低い状態で無理やり可動域を広げようと反動をつけすぎると筋紡錘の働きで、筋肉が硬く(収縮)なり、場合によっては筋線維の微細断裂が起きて筋肉痛になることもありますのでこの点に注意してやってもらえれば大丈夫です。

 

まとめ

筋肉や腱には、それぞれ体を守るための反射的なセンサーがついています。
ゴルジ腱器官の反射はストレッチに応用することで高い効果を期待できます。

しかし、ストレッチで一度柔らかくなった筋肉でも、翌日には硬さが戻りますので、ある程度継続してやることで柔軟性や関節可動域の広がりにつながります。

始めから無理せず時間をかけて身体が変化する様子を楽しんでください。

 

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